忘却に対抗する方策は、「反復」に徹するのみです。

ここまで私は何度も、「繰り返し学習」の大切さについてお話ししてきました。
そしてここでも同じことを書きます。
お怒りにならないでください。人間は忘れるのが当たり前の生き物だからです。

宅建の試験対策では、私は「最低4カ月以上(300時間以上)の学習期間」を確保することを推奨してきました。しかし、それでもたったの4カ月です。
勉強を本気で始めて学習範囲の全容を知るようになると、タイムリミットまでそんなに多くの時間の余裕がないことにすぐ気づかれるはずです。

そして、
「先週やったばかりなのにもう忘れてる」
「自分は記憶力が弱いのではないか」
そんな焦りのなかで時間との戦いが続くことになります。

人は忘却する生き物である。
このことを肝に銘じてください。
忘れてしまうのです。特に初めて覚えたばかりのことというのは、年齢・性別・学歴に関係なく簡単に忘れてしまいます。

それは記憶という観点から見ますと、人間の脳には3つのメカニズムがあるからです。
(1)大切な情報を長く保存しておく「長期記憶脳」、
(2)新しい情報を一時的に保管しておく「短期記憶脳」
そして、その中間にある(3)「中期記憶脳」 です。

しばらく使っていない情報でも、私たちは実家の住所や電話番号はすぐに思い出すことができます。それらはこれらの情報は、「長期記憶」の情報として脳に定着しているからです。

それに対して、英単語や新しく聞くIT用語、宅建の民法用語など、初めて脳に伝わった情報は「短期記憶脳」に一時保存されます。そして繰り返し(反復学習)をして中期記憶脳→長期記憶脳へ送り届けなければ、約7日の間には完全に記憶から消え去ってしまうのが現実なんです。

忘れることを完全に回避することは、誰にもできません。
ですから宅建学習には、なるべく忘れにくくする方法を必ず取り入れてほしいのです。

(1)同じ内容を何回も回転させる

まったく当たり前のことを書いてしまいますが、忘却を防ぐためにはこれ以上の王道はありません。
たとえば、

  • 夜勉強した内容を、次の朝に復習
  • 3日間をワンセットに振り返り→1週間単位の振り返り→1週間単位の振り返り、と繰り返します。

短期記憶が初めてキャッチした情報は、その日から30日の間に7回繰り返すことが、記憶を定着させる法則だそうです。

(2)時間の有効活用

「振り返り学習」に適切なのは隙間時間を活用することです。社会人や学生さんなら、主に移動の時間ということになると思います。
通勤・通学に片道1時間以上掛る人はめずらしくないでしょう。往復2時間、1ヶ月40時間以上の隙間時間があることになります。この時間を有効活用しない手はありません。

移動の時間を有効に使うひとつの方法は、コンビニ等のコピーを活用することです。あなたが気になる重点項目を、毎日4~5枚コピーしてポケットやカバンに忍ばせておきましょう。
些細なことかもしれませんが、バス停での待ち時間にテキストを開くのは大変ですから。コピーならたとえ雨降りでクシャクシャになっても気になりません。

(3)思い出す勉強法

やったことを思い出すのです。テキストも過去問も一切使いません。持ち物がいらないからいつでもどこででもできます。
思い出す対象は過去問です。ある問題の4肢を思い出して組み換え、頭の中で新しい問題を作り出すことができたら最高でしょう。宅建士の出題者になったつもりで、クイズ感覚で遊んでみるのです。問題づくりはなかなか上手くはいかないと思いますが、少なくとも「思い出した」という事実だけで、反復学習を1回余計にしたことになります。
また、この学習法には考える作業が伴いますので、理解が曖昧な点に気づくこともできます。

試験対策の4カ月は、頭の中を宅建一色に染めるくらいの意気込みで頑張るようにしましょう。